ポストプロダクションの技術を評価する「JPPA AWARDS」において、グレーディングが優秀賞を受賞。 さらに、新人賞2部門、審査員奨励賞1部門を受賞しました。
JPPA AWARDSは、テレビ番組・CM等における映像や音響の技術面にスポットを当て、優秀な技術と功績に対し栄誉を与えるものです。
<受賞作品>
◆ 映像技術部門 / グレーディング / 広告 優秀賞
Grandpa's Sonata | Create All The Moments With ASUS
カラリスト:平田 藍(DIGITAL GARDEN)
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ある家族の大切な時間を、一緒に体験できる様な心温まる物語です。
自分たちが思い、作ったものが、国籍・年齢・ジェンダーに関わらず刺さるのか、届けられているのか。
その部分に心を配り、グレーディングに臨んだ記憶があります。
カメラはALEXA Mini ARRIRAW をメインで使用しています。
適度な階調をもち、撮影素材の段階で既に良いものでしたので、伸びしろを活かせるようにベースにプラスして、主にWindow / Qualifier / Warperで目線の誘導を考えました。
心情に寄り添った質感、各場面各色のバランス、表情の見せかた、そして商品の見えかた。
幸前達之カメラマン、竹林亮監督はじめスタッフの皆さんと、どの様に表現すべきか悩みながら、難しくも楽しいグレーディングでした。
このチームに参加出来たことを、とても嬉しく思います。
本作関係者の皆様、また平素よりお世話になっております皆様に、心より御礼申し上げます。
◆ 映像技術部門 / オンライン / CG・VFX 審査員奨励賞
TDK「Seven Seas2.0 メインムービー」
CG:LUDENS TDKチーム
(写真左から:牧田 聡・渡部 暁・佐藤 昭宏)
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・牧田 聡
新しい技術を駆使した案件ではありませんが、CG、グレーディング、編集と、映像制作を社内でまとめる事で、出せるクオリティになったと思います。
TREE Digital Studioとしての強みを出せた作品になりましたし、関わったスタッフが議論を重ねながら制作できたことは、今後への経験値になったと思います。
・渡部 暁
より近い未来を映像化したこの作品の中で、ロボットの立ち位置は難しいものでした。
ハイテクノロジーが身近に感じるガジェット、物語の狂言回し、そしてドジな相棒としての役割。
これらの意味をアニメーションに乗せ具現化するために、監督とアニメーションテストを繰り返したどり着いたのがこの作品になります。
苦労した分、生きたキャラクターになったと自負しております。
・佐藤 昭宏
基本に立ち返って丁寧に制作したことが今回の受賞につながり大変光栄です。
事前に3Dプリントした相棒ロボットをスペインロケに持ち込んで、リファレンス撮影、マッチムーブ用のトラッカーとして使用するとともに、演者との掛け合いにも説得力が出たのではないかと思います。
CG部内だけでなく、演出部、制作部、編集部、カラー部が一丸となって美しい画づくりを目指せたことはとても幸せな時間でした。
制作に携わったスタッフの皆様に感謝致します。
◆ 映像技術部門 / オンライン / 広告 新人賞
TDK「Seven Seas2.0 メインムービー」
コンポジター:髙橋 日明(DIGITAL GARDEN)
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この作品はオンラインエディターに上がって1年経って初めての大きな仕事で、約90カットのCGコンプ、エフェクト、合成、ほぼ全てのカットでの消し、はめ込みなど本編作業は全て1人でやりました。
アシスタントの頃にはあまり理解していなかった、撮影前の打ち合わせ、CGやカラコレとのやりとり、各部署への素材出しなど作品を通して多くを学ぶ事が出来ました。
実写からメタバース空間へいくカットで元々ズームをしているのですが、移り変わりがスムーズになるように細かくキーを打ってデジタルズームをしています。
メタバースになってからキャラが見えてくるまでは、没入感を出すためにレンズディストーションや色収差などのエフェクトを強めにかけました。
他にも海合成、地図の合成、土埃の合成、キャラクターが肩に乗る際にCGがトラッキングを取るための立体的なマーカー消し、その他細かいバレ消しなどの多くの作業があり、細部までこだわって仕上げました。
素晴らしい作品に関わらせて頂けたことを、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
◆ 映像技術部門 / グレーディング / 広告 新人賞
日向坂46 MV「飛行機雲ができる理由」
カラリスト:足立 悠介(DIGITAL GARDEN)
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今回の作品に取り組む上で一番大切にしたのが、スキントーンとルック(色彩設計)の両立です。
まずスキントーンに関して、女性アイドルが様々なシーンに大人数出演しているため、常にシーンに合ったバランスを探ることが課題でした。
彼女たちの肌がくすんで見えたり、ドラマの雰囲気を優先することで暗い印象になったりしないよう、肌色が分布している中間調をメインに細かくコントラストを調整しています。
次に、全体のルックについてカメラマンや監督と話し合っていく中で、美術のレトロな部分や生き生きとしたストーリーを効果的に表現するために、デジタル撮影ですがフィルムの質感や発色を取り入れていくようにしました。
基本的な方向性ではイエローなどの暖色を感じるようにしていますが、マスクを活用して肌に影響しないようにしています。また、美術や衣装のカラフルさを出す際に単純に彩度を上げるのではなく、赤や緑といった強い原色系は輝度も変え、よりフィルムライクな印象に近づけています。
粒子素材も普段よく使用する35mmのものではなく、今回はスーパー16mmのようなサイズの大きいものを使用して、より視聴者にフィルムを感じさせるようにしています。
彼女たちの持つキュートさ、物語の温かさを色、質感によって上手く表現することができたかなと思います。
このような素晴らしい作品に関わらせていただいたこと、関係者の皆様に感謝申し上げます。